ふしみのブログ

英語と旅行のノート

黒部五郎岳・三俣蓮華・双六岳を2泊3日縦走した

山は天気ゲーであることを再確認した、快晴3日間の北アルプステント泊縦走記録。この記事はふしみ Advent Calendar の9日目の記事です。

 

登った日: 2018年8月11日-13日 (2泊3日+予備日1日)

毎日あるぺん号で折立登山口まで行って、初日は薬師岳キャンプ場泊。2日目に黒部五郎小舎。状況が良さそうなら3日目に一気に下山、もしくは三叉小屋・鏡平で宿泊というコース。近年は日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平のほうが人気らしいが、黒部カールの中に佇む黒部五郎小舎もなかなか良いと聞いていたのでピークハントを選んだ。

 

テント泊装備で長距離を歩くということをやったことがなかったので、翌月のアイスランド・ロイガヴェーグル縦走に向けた練習も兼ねている。  

 

1日目

折立の登山口からスタート。

薬師峠小屋まではひたすらの登り。心が折れそうになる。高山とはいえ暑い。

だがしかし、快晴なので樹林帯を出れば超気持ちいい景色が広がってる。もう何でも許せる。

 

この縦走を決行した日は山の日をはさんだ3連休 (8月10日-12日)。

 

折しも関東は外出も躊躇われるくらいの猛暑が続いており、「標高3000mくらいまで登れば涼しいのでは」という発想で2週間位前から計画を立てた。天気が悪ければ気軽にキャンセルできるようソロで計画していたのだけど、SCWによるとなんと3連休は全国的にずっと快晴。これは行くしかない、と月曜日にバスを予約した。

 

登山をやる人にとって、天気予報というのは無料で毎日で引けるガチャのようなもので、もちろん曇りや雨でも楽しい登山というものはあるものの、晴れのほうが圧倒的に気持ちいい。何ヶ月も前から日程を決めて準備するよりも、いつでも行けるように計画と装備だけは揃えておいて、晴れそうな週末にエイヤと行ってしまうほうが楽しめる。ということに最近気づいてしまった。ただしこれをやると、友達からの週末のお誘いについて「天気によっては行ける」などという(めんどくさい)回答をせざるを得ない。理解のある友達は貴重であるなあ。

 

 

太郎平から薬師峠キャンプ場 (右奥) に向かう木道。前方には薬師岳が見える。山に囲まれた北アルプスは自分が登らない山も見て楽しめるのがいいですね。

 

PeakFinder というアプリを入れていったら、山の同定にすごく役立った。太郎平で使っていたら周りの登山者によく話しかけられたので宣伝しておきました。

 

PeakFinder AR

PeakFinder AR

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薬師峠テント場泊。ここには水場・トイレ以外の設備はないので、テントサイトの受付は太郎平小屋まで戻って(先程の木道を20分程度)取る必要がある。「ピークシーズンはテント場でも受付可」という情報を信じて行ってみたが結局戻る必要があった。

水場も十分、川の近くで涼しく過ごしやすいテント場でした。

 

晩ごはんはアルファ米と、石井山専の店員さんにおすすめしてもらったアマノフーズのカレー。ゴロゴロとフリーズドライの野菜が入っててたしかに美味しかった。

 

夕方までやることもないので、太郎平への木道を散歩したりした。

 

2日目

目指す黒部五郎岳はこの稜線の上。昨日は1000m登ったけどまだ登ります (登山口1300m→太郎平2300m→黒部五郎岳2800m)。

 

太郎岳→北ノ俣岳の開けた道が、(快晴なのもあって) とても気持ちよかった。絵本や子供のころ書いた絵の中にいるようで、浮遊感があるような不思議な感覚だった。

北ノ俣岳への稜線がすぅーっと伸びている。

 

北ノ俣岳で計画を立てている知らないお兄さん。気持ちよさそうだ。

 

山座同定をしているらしいお兄さん。楽しそうだ。

 

北ノ俣岳からは少し下ってからまた上り。ここの部分はかなり急だった。

 

快晴なので登るルートはほとんど視界に入っている。見えてるのになかなか着かない。。

 

黒部五郎岳という特徴的な名前の由来を調べずに来たのだけど、「五郎さんはこの山とどんな関わりがあるのだろう?」と考えながら登っていた。なかなか個人の名前がついた山というのは珍しい。

 

黒部にあるゴロゴロした岩がある山という意味らしい。なんだそれは…

正確には、登山用語でこういった岩石からなる山肌をゴーロと呼ぶのだが、ここから転じて山名となったとのこと。

 

黒部五郎は人名ではない。山中の岩場のことをゴーロという。五郎はゴーロの宛字で、それが黒部川の源流にあるから、黒部のゴーロ、即ち黒部五郎岳となったのである。

 

深田久弥日本百名山

 

 

岩の上はバランスが取りづらくなかなか登りにくい。道の目印はないので、ソロや慣れてないパーティで行くときは少し注意が必要。

野口五郎の肩に (肩と付くと人名にしか読めないが分岐点の名前である) ザックを置いてからは全身を使ってガシガシと登ってゆく。傾斜はそこまでないので怖さはさほど感じないけど、なんだかクライミングしてるみたいで新鮮。

調子に乗って進んでると、たまにハイマツに道を遮られる行き止まりもある。

 

そんなこんなで登頂。水晶岳鷲羽岳も見える!

行動食を食べてしばし休憩。ここからは黒部岳の西側に広がる黒部カールを下っていく。

実は2日目の朝までは、ギリギリ飛ばしていけば三俣小屋まで行けるのではないかと画策していたのだが、五郎岳と黒部カールの絶景を目にしてそれは諦めた…!

ぼくは結果的に2泊3日でこの行程を完了したけど、もしこのブログを読んで同じルートを検討している人がいたら、見どころの多い行程なのでできれば3泊してほしいと思う。その場合は、鏡平か三俣小屋で1泊することになるだろう。

(2泊の予定で行く人でも、天候やトラブルに備えて少なくとも安全上3泊分の装備と日程は確保して向かってくださいね!)

 

黒部カールは氷河で削られた特徴的な地形。

 

「神庭」とも呼ばれるらしい。そんな大げさな、と思っていたけど確かに神秘的。氷の下でどうやってこんな岩が残ったのか?

 

特徴的な割れ方の雷岩。

 

3連休ど真ん中ではあるが、さすがに縦走しないと来られないエリアだけあって人はほんとうに少ない。黒部カールでは4-5人しか人に会わなかった。

 

カールに入ってからは道がわかりにくい。山小屋の方々がつけてくれた目印を頼りに進むことになる。

合っている道には「○」と書いてある。 

ここを渡れということらしい。

 

 

 

そうこうしているうちにカールを抜け、

黒部五郎小舎についた。深い山にかこまれたロケーションと、赤い三角屋根が特徴的なこぢんまりとしたいい小屋。

ここで1泊。人も少なく雰囲気も設備も申し分なかったけど、虫が多くて難儀した。周りはトレランの人が多かった。

 

3日目

3日目は午前4時発。周りのテントは2時くらいには動き出しはじめててすごかった。

朝焼けの三俣蓮華岳。残雪が美しい

槍ヶ岳も近づいてきた!

 

幾重にも折り重なる山々の屏風。

 

ここまで来たら双六岳はもうすぐ。

 

右奥の特徴的な形の山が笠ヶ岳

 

双六岳でおもしろいのはこの広い稜線。月面のようだ。。

 

双六岳からの下りも美しく楽しい。

直降ルートは残雪の影響で閉まってるので巻道を通ります、

 

あとは新穂高温泉まで降りるだけ!バスを逃すと帰る手段がないので終バスに気をつけましょう。あと、長い下りを早いペースで降りるときは足指の爪にお気をつけください。切り忘れて中で圧迫され、あとで中指の爪が剥がれました (ちゃんと生えてきた)。

タイム

1日目
折立 7:30
太郎平 12:00
薬師岳テント場 13:00
最初の2時間がいちばんきつい。

2日目
薬師岳テント場 5:20
太郎平山頂 5:55
北ノ俣岳 7:50
中俣乗越 9:05
黒部五郎岳 11:00
黒部五郎小屋 14:00

3日目
黒部五郎小屋 4:00
三俣蓮華岳 6:20 (休憩30分)
双六岳 8:00
双六小屋 8:40 (休憩30分)
鏡平山荘 11:10 (休憩20分)
わさび平小屋 14:10
新穂高温泉 15:30

装備

ザックはロイガヴェーグルでも助けられたバルトロ85 (TrekInで購入)。テントはKelty TN2。寝袋はモンベル ダウンハガー800 #2を持っていきました。