ふしみのブログ

英語と旅行のノート

角幡唯介『極夜行』極限の暗闇を犬と旅する3ヶ月

探検家、角幡唯介の本。「極夜の冬の北極海を歩き、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった」という動機で始まる探検記。

探検家という人の考えを知るというのは初めての機会だった。どうにも胡散臭いイメージがあったが、すでに「型」の確立された有名な山に登る商業登山家などとはと異なり、探検とはなにか、GPSや飛行機のあるいま何が「探検」と呼べるのかを常に考え続け、立ち向かう価値のあるリスクを探し続ける生き方がかっこいいなと思った。

ちなみに、旅のお供として連れ歩く犬がとてもかわいい。とてもかわいいのだが、北極圏の探検家にとっては犬は非常用の食糧でもある。角幡は果たして食糧難に陥ってしまい、真剣に犬を食糧に入れた残日数をカウントしなければならない状況に至る。「犬を食べてしまう」という悪夢に魘される日々。この他にも、自分の生活から最も遠い非現実的な話でありながら生々しさのあるエピソードが多く面白い。

極夜行

極夜行